エンジンのチューニングアップだけに限らず、それに付随して水温の上昇(オーバーヒート)、
油温の上昇、そしてガソリンの温度の上昇と、周囲のチューニングアップも考える必要があります。
約75馬力のエンジンでSU HS2ツインキャブ搭載を前提に言うと、夏と冬では、74/82/88度と種類のあるサーモスタットの交換程度で充分対応出来てしまいます。
また、(純正)ラジエターが正常であれば、問題はありません。オイル(油温)はと言うと、
これは10段〜13段位のタイプで、サーキット走行も出来るオイルクーラーがおススメです。
この際、安価なラバーホースタイプで充分でしょう。特にステンメッシュホースは必要ありません。
次にガソリンの温度ですが、これは本格的にレースに参戦しないのであれば、ガソリンパイプにクールイット(断熱材)を巻いてください。
どこまで巻けば良いかといえば、エンジンルーム内まででしょう。
ところで、なぜガソリンの温度まで考えなければならないかと言うと、ミニのエンジンルームの空間には、エクゾースト(タコ足)の上にキャブレターが位置しています。この事に気が付けばお解かりいただけるはずです。
ミニの場合、ガソリン温度が上昇し易く、これは確実にパワーダウンにつながります。
40馬力の時は気が付かなくても、75馬力のミニでは必ずパワーダウンします。
それだけ「ビミョウ」になる訳です。そして「熱い」空気もパワーダウンします。
1,300インジェクションにエアクリーナーボックスを取り外し、スポンジタイプのエアクリーナーを、
真上に直接取り付けて、夏場の渋滞やノロノロ運転中の際に、前方からの風(外気)も入らず
ガソリンの温度もどんどん上昇し、吸入効率の良いスポンジフィルターはエクゾーストの「熱い」空気をも取り込むことになり、ガソリンが”薄い”状態になってしまうのです。
エアクリーナーボックスは埃を防ぐためだけに有るのではなく、「熱い」空気がなるべく入らないようにも考えられているのです。
特に1980年代以降のミニは、エアクリーナーも大きくなり、その為、なるべく前方からのフレッシュエアーが入り易い位置に向いており、「熱い」空気が取り込まれないように、エンジン前方のクラッチ側からのエアーを必要とする訳です。
では、MK1〜3のクーパーSは、純正のエアーボックスが、タコ足近くから空気を取り入れる構造になっています。
これは、渋滞や日本の真夏は計算していないと言う事になります。
英国の真夏は、30度オーバーの日はせいぜいあっても20日間位で、昼間一日中30度と言った気温は、ロンドンあたりでも年間10日間位しか無く、日本では真冬仕様が英国仕様だと思えば納得頂き易いと思います。
ちなみに、ロンドンは北海道より上(北)に位置しております。その為、そこで作られた古いタイプの英国車はオーバーヒートし易いとよく言われますが、
ミニ850〜1,000について言えば、全くその心配は無いでしょう。
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