所謂、足回りのセッティング・・・このサスペンションの設定と説明が最も難解でして、例えば、エアコン付きの完全ノーマル車輌のミニ1000を、速くコーナリングさせようとする場合と、三和ミニ1000改での場合では、大幅に異なる設定となりますが、一般的なラジアルタイヤとSタイヤとでも、大幅な差が生じてしまう事になります。
以前にもお知らせしたように、「ロールケージ」を入れた場合、よりサスペンション設定が明確になり、
正しい設定が求めやすくなった事をお知らせしたと思いますが、これは車体(モノコックボディ)強度が向上し、左右の「ねじれ」が均等(ほとんど0)になり、そして計算上、車体の動きが限定されるからです。
ショックアブソーバーも、路面のわずかな凹凸を吸収しやすくなり、また、車体の大きな上下の動きや、
左右にステアリングをきった際のコーナリング時の車体斜度までも非常に安定したわけで、サスペンションへの影響はノーマルボディとサーキット走行対応車検付きミニ1,000改では大幅な差があることをまずお伝えしておきます。
まず始めに、全くノーマルな車体のミニ1,000エアコン付き車(M/T)のサスペンション設定から解りやすくお知らせ致します。まず、ミニ1,000ノーマル12インチタイヤの場合、最も近年のミニ一族の中では、一番乗って楽しい最高の実用車で、耐久性、維持費、そして何より日本ではイジり回す素材のミニとしては、世界一改良された外車でしょう。
後続の1300ccより絶対的にお買い得で、ミニ1000のノーマルを、今見つけ出すのが難しいのもこの様な理由からなのです。
さて、ミニ1,000ノーマルで、最初にやらなければならない事は、ラバコン及び足回りのブッシュを全て新品にすることです。これらが全て成されてなく、「ラバコンだけは新品」とか、一応「ブッシュ類だけは交換した」などは全くダメ。
とにかく、特にフロントサブフレームマウントも含め、全ての接続部の交換が必要です。
FF(フロントエンジン/フロント駆動)車輌の場合、国産車も含めフロントサスペンション設定が90%以上重要で、ここだけは、「大体新品で修理してある」では、その「大体・・・」がまずダメです。(全てにおいて「大体・・・」はNGですが・・・)ミニも生産されてから、乗り心地と共鳴を軽減させるために、70年代後半からサブフレームラバーマウントなる部品が追加されております。
これが、良さと悪さとを相殺させている事になっており、ここでは、この部分をリジットマウントにする事を強くお勧めします。そして出来ればサブフレームタワーブッシュも耐久性の高いハードな部品を選んだ方が後々お得になるでしょう。
これで、あなたのミニ1,000もシャキッとした、60年代オリジナルMK1ミニの新車状態に限りなく近いハンドリングを得られるでしょう。
まず、これが絶対の基本であり、車体とサブフレームが確実に連結されていない状態では、いくらエンジンをフルチューンしても、正確なコーナリングが半分くらいしか出来ないわけで、これに気が付かないまま、サーキット走行を行ったり、レースにまで参戦していたりするミニが存在する気がします。
これでは運転技術の向上を求めるのはかなり難しいと思います。
ちなみに、"ミニ998チャレンジ"の参加車輌も、ほとんどがこのリジットマウントのはずです。
そして、サスペンションブッシュの件ですが、正確にはフロントロアアームブッシュは、純正よりウレタン系の商品が数多く出回っておりますので、耐久性のある物であれば、大差はありませんが、「硬い」ほど良いと言う事はありません。
また、このブッシュが入るロアアーム本体ですが、これにも純正の他、ロングロアアーム(純正のロアアームを流用するのですが)なる物が用意されてり、S,M,Lサイズのように、1.5/2.0/2.5度の3種類あり、1.5度が一番売れており、これくらいの角度にしておくのが、正しい選択と言う事なのでしょう。
こちらは後々ご説明いたします。
それではなぜロングロアアームが必要で、フロントタイヤを八の字にした方がコーナリングの時に有利かと言うと、コーナリングしている車体がコーナー途中で傾くと、その分タイヤも傾く事になる訳で、停止状態の時、0度まっすぐに接地されているのでは、車体と同調した際、傾き分だけタイヤも傾きながら旋回しており、これではタイヤが路面に対して並行に設置し難くなります。
その分を計算して八の字に設定しておくと言うアイディアなのですが、やりすぎると直線安定性に欠けるので、まず「1.5度」が求められるのです。
なぜ、もっと細かい設定が無いのかと申しますと、公道上では、スピードとカーブの大小が無限にあるため、設定しきれないという訳です。
1.5度が一番人気で、次はやはり2.0度が人気です。
一般道路では「わだち」が結構多いので、2.0度にすると結構「ハンドルを取られる」事になる訳です。
価格が同じだからといって、度数が多いほど有利とか、得したと言った考え方は「間違い」です。
「どちらかに指定しろ」・・・と思う方もいらっしゃると思いますが、それはあなたが「シャコタンミニ」を望んでいるのなら1.5度では”見た目”不満でしょうし、ノーマル車輌に近い車高をお望みなら、走りに合わせて1.5度でも2.0度でもOKと言えるでしょう。
あなたは、ノーマル派?それともシャコタン派?個人的には、若干シャコタン(ハーフインチ12.75mm以内)で1.5度でしょう。
これは好みの問題ですが、シャコタンミニがコーナリングの時、必ずしも速そうに見えることはありませんし、また、サーキット用にセットされた車高は、タイヤ、路面、温度、そして車体が異なり、参考にならない事は確実です。
しっかりした「理由」を基にセッティングしていく事が、”Fan to Drive”にも”勝利”にも繋がります。
次回は、この八の字1.5度セッティングのための車高と、ネガティブにする際の取り付け注意点とテンションロッドとの重要な関係を説明致します。
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