mini1000のブレーキ
ミニに限らず、自動車の全ては“加速と減速”を常に繰り返しており、高速道路でも同様です。加速時には馬力やトルクなどエンジン出力で大きく左右されます。
そしてミニの場合、減速時に一番活躍するブレーキの主要部を大まかに分ければ「ブレーキローター、ブレーキパッド、ブレーキキャリパー、ブレーキマスターシリンダーそしてブレーキホース」の6点と、実に簡単な構成で組み立てられております。これら簡素な構成なだけに、わずかな投資でブレーキパワーを向上させる事は、それほど多くの知識は必要ありません。
我々の経験では『Sタイヤ』のミニならば、ブレーキホースとパッドの交換で筑波サーキット15秒台は十分イケると言えます。ただし、ブレーキローターは新品又は再研磨は必ず行うと良いでしょう。
ミニには10インチと12インチのブレーキローターがありますが、ローター直径とパッド面積が大きいほど制動力が高まるため、やはり12インチローターの方が有利といえるでしょう。
ベンチレーテッドディスクという選択もありますが、これは純レース用とお考え頂いた方が良いでしょう。その理由はローター自体の重量があり、そして何よりもスタンダードキャリパーには使用出来ないという事です。
またスリット入りローターについてもご説明させて頂くと、スリット自体は主にゴミをかき出し、パッドがローターへ均等に当たる様にする事が主目的で、何本入っていても冷却にはあまり関係ありません。メーカーの設計思想とデザインが関係し、スリットが多いほど効きが良いと言う事もあまりありません。
ローター重量の話題ついでに、コーナーリング時においてもタイヤ周辺の重量(バネ下荷重)は大変重要です。タイヤ、ホイール、ディスクローター、キャリパー等は合計すると結構な重さとなり、これらの個々の重量をチェックする事が大切です。当初は返品になった12インチのアルミホイール(レボリューションとミニライトを2本ずつ)を純正キャリパーと組み合わせて使用しておりましたが、この時はリヤのタイヤロックやフロントのドタバタ感が多かった様で、やはり重量が大きく関係していたのではないかと思われます。ちなみに現在38号車ミニ1000チューニングは12インチソリッドディスク、KAD4ポッドキャリパー、MBレーシング3ピースアルミホイールの組み合わせで13秒台(筑波S)を出しました。18秒台からここ一年で約5秒タイムアップに成功した事となり、同一ドライバーで毎回タイム更新するにはエンジン出力だけではとても無理な話で、ストッピングパワーとコーナーリングパフォーマンスが確実に3秒以上は貢献している筈です。
公道上であってもブレーキの性能向上はかなり役立つ場合が多く、数万km程度走行したミニであれば、ローター再研磨とパッド交換だけでも相当新車時に近いフィーリングに戻るでしょう。
ローターを指でチェックして見て下さい。溝が確認されて凸凹が判るようなら相当ブレーキ性能は落ちていると思って下さい。タイヤと同じで「まだ山がある」は既に使用限度に近づき、正しい性能が発揮されない事はローターもパッドも同様なのです。
ブレーキローターの軽量化は先ほどのバネ下荷重や慣性力の低減に関係があり軽いほど有利となりますが、公道使用のミニならば、新車時に近いフィーリングを取り戻した純正ブレーキでも十分に制動力を発揮します。
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