ご自身である程度の部品交換やセッティングされている方は『高価なモノだから良い』のでは無い事を経験上ご存知だと思います。世の中の定価は業者が勝手につけた価値であり、性能とは連動していない場合が多いのです。
「高級鮮魚だからと言って“ウマイ”とは限らず、逆に安い鮮魚だから“マズイ”とも限らない。」とある寿司職人から教えてもらった事があります。高価だから必ずアナタにピッタリと言う事も無く、安価なら何でも良いという事もありません。生臭い高級キャビアより北海道の新鮮なイクラの方が絶対美味しいと信じておりますが如何でしょうか?本当に高級キャビアを食べた事あるのか?と聞かれれば「Yes!」です。しかし西洋人はあまりイクラを食べないし、熱々の白飯にキャビアを乗せても食べないでしょう。今頃日本の☆☆☆レストランを見つけて喜んでいるけど寿司屋も料亭も何十年も前から今のままだったし、フレンチよりイタリアンの方が味は上等だと思うけど・・・意見としてはそれぞれ的を射ていると思いませんか?しかしこの味覚(感覚)を他人へ伝える事はとても難しいのです。
同様に、自分好みのサスペンションセッティングも簡単な事ではありません。既に日本仕様ミニに関して言えば純正ラバコンですらフロント側は確実に役不足となっており、耐久性と前後のバランスの悪さは問題となっているハズです。古いラバコンと極度にペッタンコな車高とは決別しない事には話しにはなりません。フロント側だけハイローが入っているミニや、オークションで購入されたばかりの中古ミニはぜひラバコンの交換を実行して下さい。これだけでも十分乗り心地は「改善」される事でしょう。
【走る(馬力)、曲がる(旋回)、停まる(制動)の3大要素】のひとつである足回り(サスペンション)の部品は、どちらかと言えば「地味」な部類に入ります。製作サイドから見ると「柔らかな乗り心地」や「鋭いコーナーリング」といった数字では表現し難い【感覚的】な部分が多く、手間のかかる仕事と言えます。『たった一つのスプリングレートで全てOK』と言うことは決して無く、十人十色の乗り方/走らせ方、そして感覚を満足させる事は難しいのです。
ラバコンとコイルスプリングとでも相性の良いダンパーの性質も異なってきます。『ラバコン用は伸び側:柔らかめ、縮み側:硬め、スプリング用なら伸び側:硬め、縮み側:柔らかめがそれぞれ相性良い』と某ミニ大好きレーシングメカニックは話します。サスペンションセッティングはキャビアとイクラを比べる位に微妙な部分があり、これもドライバー本人にしか判らない感覚的な部分が多いのです。
良い部分を無理に延ばすよりも悪い部分を少しずつ減らしていく方がタイムアップに繋がる事が多いようです。検討・妥協を繰り返しながら自分に合った乗り心地を実現させて下さい。どの様な走り・セッティングを求めているかをメカニックに伝えて、正しいアライメント(トー/キャンバー/キャスター)を取り直し、ジックリと悩み考えれば必ずアナタにピッタリなミニのハンドリングが見えてくるハズです。
今回をもちまして、「1時間じゃ解らないチューニング」をひとまず終了致します。
また次の企画を楽しみにして下さい。長い間、御愛読頂きありがとうございました。
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