ここではミニ1000ccの10万km以上走行した車を対象にしています。
998cc38ps/5200rpm後に42ps/5200rpm強のエンジンはいったい何馬力位まで出力アップが可能なのか?そして、どの程度のチューニングで、どの位乗って楽しい車に仕上がるのか?多くのミニ1000オーナーにとっては夢のような加速感とスピード感が伝わる物語の始まりです。
先に知って頂きたい数字です。
メイフェア 1.3i 53PS/5250RPM
クーパー 1.3i 62PS/5700RPM
クーパーS MK1〜MK3 75PS/5800RPM
1275cc(1300)のミニはだいたい上記の出力となっておりますが、これから始まるチューニング計画は75PS/6000RPMを目標にクーパーS MK1〜MK3と同等の出力で、より「乗って楽しい」ミニの完成を目指します。
まずミニ1000である以上価格をなるべく低く抑える事を考え、又、10数万㎞を超える走行距離のエンジンをオーバーホールする為にもいくつかの条件を付けると
● クランク、コンロッド、フライホイル等は加工して使用する。
● SUキャブを用いてメンテナンスを手軽にする。
● 2,000回転からトルクの立ち上がりのあるユニットである事。
● 性能の維持がしやすい仕様にする。
● 無鉛ガス使用にする。
以上のような事によりパーツのコストを大幅に抑えられるわけで、ミニ1000にはEN40BスチールクランクやH型コンロッド等は必要ありません。それだけ1000ccのクランクとコンロッドはタフに出来ております。
そして次にチューニングエンジン75PS仕様に必要な主なパーツは、
(1) ステージ3ぐらいのモディファイヘッド
(2) SU1 1/4ツインまたはSU1 1/2シングルキャブレターオリジナル
(3) タコ足(LCB)
(4) カムシャフト
(5) フラットトップピストン
(6) 廉価タイプローラーチップロッカー
(7) ダブルアジャスタブルタイミングチェーンキット
(8) 軽量タペット
(9) 改良ディストリビューター
(10) 修理部品、その他
しかし、これらのチューニングパーツをボルトオンすれば75psは簡単に出せるかと言うと、絶対にそうはいきません。
何をするかと言えば、フラットトップピストンとモディファイヘッドの圧縮比を何対1にするか?また、軽量フライホイルを何%位軽量するか?又は何キログラムにするか?そして、998ccを+20,+30,+40,+60のどのサイズのピストンをチョイスするか?
ここからはもっと難解になります。
エアコン付き1.3インジェクションのミニオーナーは諦めてください。知識欲があり、ミニ1000をこよなく愛しているミニオーナーだけ解れば良いと考えております。日本語の文章力も文法も特別に学んだ訳ではありませんので、解りにくい点が多少ありましてもご了承ください。理論的に書物に出来れば、学者になれる事はあるでしょうけど、実験や研究をし、それを一つ一つ立証していたのでは時間が全く足りないので、ここではどんどん噂と迷信を参考にミニ1000チューニングの完成を目指しましょう。
1000cc用チューニングヘッドのバルブはインテーク31mm、エキゾースト26mm以内位が良いでしょう。そして、燃焼室は23〜24cc以下でフラットトップピストンとヘッドガスケットの厚さ約1mmを計算して10:1以上11:1以下位を目安にし、ここでは+40のピストンを使用します。
以前チューニングヘッドを大量に販売していた頃 「当社のヘッドは圧縮があまり上がらない・・・」
と言われた事があります。しかし良く調べてみると、日本の多くのミニオーナーはヘッドをそのまま付けて満足し、ピストンディッシュもカムもバルブタイミングも何も計測しないで、ただ取り付けているだけでした。英国では面研を何度もされたヘッドはチューニングヘッドとしてはあまり好まれないのです。その理由は燃焼室の浅いヘッドはすでに何回も面研されている可能性が高く、それだけ酷使されている事が予想されるので、リスクが高いと判断されるからです。チューニングヘッド用のベースヘッドには面研を何度もされたものは好ましく無いと言う事です。
英国の考え方のついでに、数ある有名チューナーとの長い付き合いの中で、彼らが必ず口にする言葉に「トルキー」と言う「使いやすいエンジン」と言う意味の言葉を口にしますが、「良く回るがトルクが低い所から出る」と言ったところで、逆に日本ではトルクが細く、高回転で出力はあるが、どちらかと言えば使いづらいエンジンを作る所が多い様です。
これではレースでも街乗りでも全てに渡り不利です。答えはギア比の問題で、4段しかないミニの場合、パワーバンドの狭いエンジンはターボラグの大きいのと同様、乗って楽しくならないのです。
ファイナルを上下させても同様で、どのサーキットへ行っても必ずどこかのコーナーで回転が合わない所が出てくる事になるので、立ち上がりで「ガマン」が発生してタイムがその分遅くなる。街中でも同様、トルクの細いエンジンはローギア(一速)では面倒で、セカンドギア(二速)ではギアが高すぎる。また、サードギア(三速)では回転が上がり過ぎてトップギア(四速)では失速しそうになる(どんどんスピードが落ちていく)。この様な経験を日々されていると思います。
もしすでに何かのチューニングを行ったミニ1000で上記の様なミニは乗っていたら楽しいどころか、常に他のドライバーの迷惑にならないように走行しなければならず、ストレス以外の何ものでもないでしょう。
本題に戻りましょう。出力を出すパーツはシリンダーヘッドとキャブレター、それにタコ足で、トルクを生み出すのはピストン、コンロッド、それにフライホイルと信じて下さい。そして何でもかんでも軽量で、回転さえ上げれば出力向上が簡単に望めるとは考えないで下さい。低い回転でも大きなトルクと高出力を生むユニットが上手なチューニングで、エンジンの回転数イコール出力馬力にはなりませんので、高回転ユニットはAタイプエンジンにおいてはムダと言えるでしょう。エンジンと気持ちだけ高回転では、車は速く走りません。
2.542"(64.5668mm)ピストンにボアを拡大して+40(+1.016mm)のピストンを入れると、何ccのエンジンになるのでしょう?それは1,030ccとなります。1030÷4=257.5ccが1気筒あたりになります。約1mmがガスケットの厚み分とブロックとのピストンギャップを0と計算して257.5÷24.5ccとすると約10.5:1となります。この11以下の圧縮比がどうして良いのかと言うと、日本のガソリンのオクタン価に関係があり、本当は英国と同一のオクタン価であれば説明も簡単なのですが、長くなりますのでここでは割愛させて頂きます。そして、この高圧縮比のエンジンで、各回転数において高いトルクを生み出すには、どうしたら良いでしょうか。
ヘッドとピストンが決定すると次はカムシャフトを選択しなければなりません。1030ccで10.5:1以下の圧縮比でどの程度のカム(リフト量と開閉の幅)がベストかと言うと、SUキャブとのマッチングを考えれば、ケントカムならMD266からMD286までが限界です。昔なつかしい番号ではC-AEA800又はC-AEA731が限界でしょう。しかしながら、バルブのリフト量がピストンヘッドから最低数mmは常時離れて異ないと、オーバーレブの際に大きな問題となりますので、ここでは安全を考えて下記の表を参考によくチェックして下さい。
|
1 |
2 |
3 |
4 |
Part Numbers
(Flange oil pump drive) |
12A1065 |
12G726 |
AEG522
AEG323
AEG538 |
C-AEG567 |
Cam lobe width |
3/8" |
3/8" |
1/2" |
1/2" |
Markings |
|
2 rings |
|
AEG568 |
standard use |
Auto Mini
Auto 1100 |
Auto Mini
Auto 1100 |
Midget Ⅲ
Sprint Ⅳ
1300 12H
Marina 1.3 |
|
|
※ |
※ |
+ |
※ |
Inlet opens BTDC |
5° |
5° |
5° |
16° |
Inlet closes ABDC |
45° |
45° |
45° |
56° |
Exhaust opens BBDC |
40° |
51° |
51° |
51° |
Exhaust closes ATDC |
10° |
21° |
21° |
21° |
Inlet period |
230° |
230° |
230° |
252° |
Exhaust period |
230° |
252° |
252° |
252° |
Cam lift |
5.61mm |
6.35mm |
6.35mm |
6.35mm |
Valve lift |
7.24mm |
8.07mm |
8.07mm |
8.07mm |
Running clearance |
0.30mm |
0.30mm |
0.30mm |
0.38mm |
Checking clearance |
0.48mm |
0.48mm |
0.40mm |
0.48mm |
Full inlet lift at: |
110°ATDC |
110°ATDC |
110°ATDC |
110°ATDC |
Part numbers
(Pin type oil pump drive) |
8G712
2A297
2A571 |
12G165
AEA630 |
AEG148 |
88G229
2A948
12A122 |
Marking |
|
2rings |
|
1ring |
Cam lobe width |
1/8" |
1/8" |
1/2" |
1/8" |
standard use |
Mini |
1100 & Midget |
Cooper S
Midget11 |
Cooper
997cc |
For identeification see markings and cam lobe width (3/8"=9.5mm,1/2"=12.7mm)
※ For checking, set rocker clearance to 0.019"(0.48mm)
+ For checking, set rocker clearanse to 0.016"(0.40mm) |
|
5 |
6 |
7 |
8 |
Part Numbers
(Flange oil pump drive) |
AFG542 |
C-AEA542 |
C-AEG643 |
C-AEG529 |
Cam lobe width |
1/2" |
1/2" |
1/2" |
1/2" |
Markings |
1 wide ring |
3 rings |
707/1473 |
AEG530 |
standard use |
|
Road
Rally |
Rally |
Race |
|
+ |
+ |
+ |
+ |
Inlet opens BTDC |
10° |
24° |
34° |
50° |
Inlet closes ABDC |
50° |
64° |
74° |
70° |
Exhaust opens BBDC |
51° |
59° |
69° |
75° |
Exhaust closes ATDC |
21° |
29° |
39° |
45° |
Inlet period |
240° |
268° |
288° |
300° |
Exhaust period |
252° |
268° |
288° |
300° |
Cam lift |
6.35mm |
6.40mm |
7.77mm |
8.00mm |
Valve lift |
8.07mm |
8.13mm |
9.86mm |
10.00mm |
Running clearance |
0.38mm |
0.38mm |
0.38mm |
0.38mm |
Checking clearance |
0.40mm |
0.40mm |
0.40mm |
0.40mm |
Full inlet lift at: |
110°ATDC |
110°ATDC |
110°ATDC |
110°ATDC |
Part numbers
(Pin type oil pump drive) |
AEG510 |
C-AEA731 |
Same profile as
C-AEA544
now extinct. |
C-AEA648 |
Marking |
1ring |
3rings |
AEA649 |
Cam lobe width |
1/2" |
1/2" |
1/2" |
standard use |
Cooper
S |
Road
Rally |
Race |
For identeification see markings and cam lobe width (3/8"=9.5mm,1/2"=12.7mm)
※ For checking, set rocker clearance to 0.019"(0.48mm)
+ For checking, set rocker clearanse to 0.016"(0.40mm) |
|
9 |
10 |
11 |
12 |
Part Numbers
(Flange oil pump drive) |
C-AEG597 |
C-AEG595 |
C-AEG636 |
C-AEG599 |
Cam lobe width |
1/2" |
1/2" |
1/2" |
1/2" |
Markings |
AEG598 |
AEG596 |
AEG637 |
AEG600 |
standard use |
Sprint |
Super
Sprint |
Rally |
Race |
|
+ |
+ |
+ |
+ |
Inlet opens BTDC |
60° |
60° |
50° |
60° |
Inlet closes ABDC |
80° |
80° |
70° |
80° |
Exhaust opens BBDC |
75° |
85° |
75° |
85° |
Exhaust closes ATDC |
45° |
55° |
45° |
55° |
Inlet period |
320° |
320° |
300° |
320° |
Exhaust period |
300° |
320° |
300° |
320° |
Cam lift |
8.00mm |
8.00mm |
8.00mm |
8.00mm |
Valve lift |
10.00mm |
10.00mm |
10.00mm |
10.00mm |
Running clearance |
0.38mm |
0.38mm |
0.38mm |
0.38mm |
Checking clearance |
0.40mm |
0.40mm |
0.40mm |
0.40mm |
Full inlet lift at: |
110°ATDC |
110°ATDC |
110°ATDC |
110°ATDC |
Part numbers
(Pin type oil pump drive) |
|
|
|
|
Marking |
|
|
|
|
Cam lobe width |
|
|
|
|
standard use |
|
|
|
|
For identeification see markings and cam lobe width (3/8"=9.5mm,1/2"=12.7mm)
※ For checking, set rocker clearance to 0.019"(0.48mm)
+ For checking, set rocker clearanse to 0.016"(0.40mm) |
REF |
MD256 |
MD266 |
MD276 |
APPLICATION |
MILD ROAD |
FAST ROAD |
ROAD RALLY |
POWER BAND |
1000-6000 |
1000-6500 |
1500-7000 |
CAM LIFT
INLET/EXHAUST |
6.67mm |
6.67mm / 6.85mm |
7.43mm / 7.99mm |
VALVE LIFT
INLET/EXHAUST |
8.12mm |
8.12mm / 8.37mm |
9.14mm / 9.84mm |
DURATION
INLET/EXHAUST |
254° |
260°/ 270° |
270°/ 280° |
TIMING
FIGURES |
21/53 53/21 |
24/56 61/29 |
29/61 66/34 |
INLET TIMING
@ FULL LIFT |
106° |
106° |
106° |
V/CLEARANCE
INLET/EXAUST |
0.40mm |
0.40mm |
0.40mm |
CAM
FOLLOWER |
CF1 |
CF1 |
CF1 |
VALVE
SPRING |
VS2(1275cc)
VS4(1000cc) |
VS2(1275cc)
VS4(1000cc) |
VS2(1275cc)
VS4(1000cc) |
REF |
MD286 |
MD296 |
MD310 |
APPLICATION |
RALLY |
RACE |
FULL RACE |
POWER BAND |
2000-7500 |
3250-8000 |
4000-8500 |
CAM LIFT
INLET/EXHAUST |
7.99mm / 8.22mm |
8.22mm / 8.62mm |
8.62mm |
VALVE LIFT
INLET/EXHAUST |
9.84mm / 10.15mm |
10.15mm / 10.67mm |
10.67mm |
DURATION
INLET/EXHAUST |
280°/ 290° |
290°/ 300° |
310° |
TIMING
FIGURES |
34/66 71/39 |
39/71 76/44 |
49/81 81/49 |
INLET TIMING
@ FULL LIFT |
106° |
106° |
106° |
V/CLEARANCE
INLET/EXAUST |
0.40mm |
0.40mm |
0.40mm |
CAM
FOLLOWER |
CF1 |
CF1 |
CF1 |
VALVE
SPRING |
VS4(1000cc)
VS24(1275cc SS4 Specers required) |
VS4(in 1275cc SS8 Specers required) |
VS4(in 1275cc SS8 Specers required) |
ミニ1000の場合、1500rpmから6000rpm位を上限としてカムを決めようとすると、KENT CAMならMD276、カムリフトINで7.43㎜、EXで7.99㎜、バブルリフトINで9.14㎜、EX9.84㎜となります。ちなみにミニ1000スタンダードはカムリフトで5.61㎜から6.35㎜、バルブリフト7.23㎜から8.07㎜ですが年式によって若干異なります。
そして、ここからそれらのバルブリフトが、どの位の角度で開き始め、閉じられるのかが重要なポイントになってきます。カムは大体ゆで卵の様な形をしており、この開いている角度が大きい程、そしてリフト量が多い程、空気とガソリンが多量に供給され、それだけ爆発力も高まると言える訳です。そしてここで高圧縮比のピストンは、ハイリフトカムと共同で多量の空気とガソリンを吸い込んで高圧縮し、スパークプラグが点火して、大出力を生み出す訳です。
ところで、スタンダードなミニ1000を、オーナーの皆様方はどう思っているのでしょうか?
(1) 出足が遅い。
(2) ローギアが伸びない。
(3) 5000rpmあたりからはパワーが出ない。
(4) トップスピードまで時間がかかる。
(5) 100㎞/hでうるさい。
(6) 長い登り坂ですぐ加速しなくなる。
(7) フケ上がりがトロイ。
といった様なこのミニ1000を、工賃も入れてたったの数千円で体感できる程速くなったら楽しくありませんか?
実は1 1/2SUシングルのキャブ車はAABニードル(参考価格3,675円/1本)をたった一本交換しただけで、確実に速くなります。
エアコン付きでもきっと楽しくなるはずです。オートマのミニも大きく変化するでしょう。1 1/4SUシングルの古いミニ1000も、それ程日本では多くないと思いますが諦める事はありません。ニードルがこちらも色々揃っております。
このように、お金をあまりかけないでも充分チューニングは行えますが、お金をたっぷりとかけてメチャメチャ楽しいミニ1000を作る前に失敗しない計画と、正しいノウハウがあれば、あなたも本当のミニ1000オーソナリティーとなります。また、1300にも共通して言える事です。
この辺で、だいだいのエンジン改造の主なパーツのチョイスは決まって来ており、あとは何をするか、また何の為にそれが必要なのかをご説明しましょう。
Q1. |
なぜウェーバーをチョイスしないのか?(40ΦDCOE) |
A1. |
街乗りと温度変化に弱い、車体改造をしないとベストポジションに装着できない。
ガソリンを喰う。(通常インマニとしてスワンネックを使うが、ガソリンの流れが悪い。) |
Q2. |
なんでフラットトップピストンを使うのか? |
A2. |
ヘッド側のチャンバー容積を最大限に減らして、デッィッシュピストン(6cc 7cc 11cc)を無理に使うと同一圧縮比にしても同じ出力は得られない。そしてすでに10数万㎞オーバーを考えれば、ピストンリングだけではチューニング+オーバーホールは不完全。 |
Q3. |
自分のオリジナルヘッドをどうして使わないのか? |
A3. |
10数万㎞以上走行していることを考えて、チューニングヘッドは20万円近くもする部品ですが、もしスタンダードヘッドをポート研磨と面研して、バルブ、ガイド、シートリング、スプリング、リテーナー、etcを全ての交換を行うと、20万円をオーバーする可能性が大きいからです。特にST2〜3位までになるとチューニングヘッドを使用したほうが安価となります。 |
Q4. |
75ps/6000rpm(1030cc)これ程にミニ1000のパワーを上げても、各部は大丈夫か? |
A4. |
全く問題はありません。その理由はミニ1300が殆どミニ1000と同一の部品で作られております。車体(モノコックボディーシェル)はもちろんサブフレーム、足回り一式、そして各部のラバーブッシュ類及びショックアブソーバー、ラバコンにいたるまで75ps/6000rpmにする事により、どこかが弱くなるという問題は発生しません。出来れば、上部エンジン振れ止めKITを装着。またはハードブッシュタイプに交換くらいはしたほうが良いと思いますが |
Q5. |
エンジンのオーバーホールとチューニングを別々に行う訳にはいきませんか? |
A5. |
走行10数万㎞オーバーで。エンジンとマニュアルトランスミッション(ギアボックス)を同時にオーバーホールすると、大体40〜50万円程必要となるはずです。どこまで新品の部品を使うかによって大幅に異なるはずですが、一様症状としては、
(1) オイル漏れがありエンジンの下回りがベタベタ。
(2) エンジンノイズがタペット、カムチェンからかなり聞こえる。
(3) 若干、煙を吐きオイルも喰う。1,000km/?
(4) ギア鳴りが時々する。ギア抜けも時々おこる。
(5) クラッチ以外エンジンの内部修理をしたことがない。
(6) 10数年以上乗り続けているが大きなトラブルもなかった。
と言ったようなミニ1000は当たり前に10数万㎞も走向している訳で、バルブガイド、 デフスラストワッシャー、オイルポンプ、ギアボックス内のシンクロリング、ニードルベアリングカムチェン、タペット等は完全に交換部品となっております。よって、エンジンを降ろし全てバラバラにしないと交換出来ない訳で、それらの工賃を考えると、もっと馬力の低いチューニングをお考えの場合でも、なるべく同時に進める方が後々のコストセーブにつながります。 |
先々に何かパワーアップする事を夢見ているあなたに簡単にお教え致しましょう。
カムとタペットは、どうせ摩滅している。ならばKENTのMD266と新品タペットを使い(もちろんオイルポンプも)フラットトップピストンだけ入れて、ダイナミックバランスを取ってもらいフライホイルを若干軽量化して、SU1 1/2シングルキャブにニードルをA A Bにしてもらうとかなり安価に出来る事になります。5〜8万位しかオーバーホールのコストはアップしないでしょう。
日本ではあまり自分でエンジンを降ろしたり組み立てたりする方は多くないと思いますが、もっと詳細にお知りになりたければ是非一度ご自身のミニ1000を乗って来て下さい。
何でもご説明出来ると思います。ご近所のミニ専門ショップは技術と経験は充分ですが、何かと聞きづらい、行きにくい、とお考えのあなたは自分で修理を覚えるか、出来ないながらも多くを知って理解出来れば、そのパーツ代金、その工賃が高いか安いのかも納得出来、判断がよりプロに近づく事になる訳です。
ミニの修理工賃も部品代も45年前の基本設計である事と外車であると言う事を考えれば、 決して高価では無いと思いますが、無駄なアイディアや間違った知識では、予算がいくらあっても足りません。
間違いやすいチューニングのポイントをいくつか挙げました。
|
高い程良いと言う事は無く、特に街乗りではほどほどに。 |
(3) |
ギア比(ファイナル)とクロースレシオの関係。 |
|
東京都内と北海道や南九州とでは大差。とくに1000㏄では。 |
|
正確にバランスされた1000㏄はまるでスムースに回ります。
(これだけでもパワーアップ) |
(5) |
カムの選択とキャブの調整及びフローの関係。 |
|
あまり欲張らず中間のカムでも充分。それよりINとEXの段差をよくチェック。 |
町の中古車屋にも多くのミニが展示されておりますが、中には、ツインギャブ+タコ足にルーキーマフラー、そしてセンターメーターとモトリタウッドステアリングが取り付けてある様なミニ1000もあり、そのほとんどが、ただ取り付けただけの車が多く、一つ一つの部品があまり生かされていない様です。あなたのミニ1000はいかがですか?ヘッドの各ポートは段差を無くしてありますか?「僕のミニはノーマルだから関係無い。」と思っている方にも大有りなのです。
実は純正のインレット&エクゾーストにも、結構な段差があるのです。
国産車にも指で触って明確な段差は必ずあります。これを限りなくフラットにするだけで、 かなりな馬力の差が生まれるのです。
高度な知識はより多くの可能性を生み出しますが、又、色々な不安も生まれます。もし仮に予算の関係で、そして不安からMD266と言うマイルドなカムを選択し1 1/2SUシングル+AABで、数ヵ月後中古のSU1 1/4ツインキャブとタコ足が3万円で手に入り、モアーパワーと思った時、MD266でもOKかと言う事になりますが全く問題ありません。 中古ツインキャブレターのニードルのチェックとフロートバルブの交換位でより加速度が味わえるはずです。 (MD266で70psオーバーは難しくありません。)
次回エンジンを組み立てる時のプロのコツと、又何でそんな事が必要か?どうしてそれが良いのか?どの部品にどの様な弱点があるのか?英国と日本の差異などを含めてお伝え致したいと考えております。 |