カムの追加説明を続けます。(何で又カムかと言うと、エンジンを何回も下ろせないからです。)
上の図をを見ていただければ良くお分かり頂けるとお思いますが、卵型したこの形状とリフト量によって大幅に異なる性能のエンジンが組み立てられる訳ですが、各部のクリアランスによって数字通りにはバルブはリフトしません。
MD276カムのリフト量が仮に7.43mmであると、バルブリフトは9.14mmとなり1.3:1のロッカーを使用したときの計算では7.34×1.3=9.54mmとなりますが、タペット及びロッカーアームのクリアランスで約0.4mm減少している訳です。
そしてDWELL部分が大変重要でこの間はバルブは定期間ではありますが、最大リフトを続ける事になり、この間に最も多くの混合気を送り出すことが、大きく出力にかかわってきます。
大体カムの役割と、その仕事振りはお分かりいただけたと思いますが、では何故レース用カムではだめなのか?
という疑問をお持ちの方の為に説明すると、低回転では、バルブリフト量とその開閉時間が大き過ぎると、安定したアイドリングと、低速トルクが大幅に実用回転範囲で低下してしまい、常時3500〜4000回転以上をキープしていないと走行出来ない事になってしまうのです。低回転で多すぎる混合気はかえって出力が出なくなってしまうのです。
そして、それでも何でだと言われる方は熱しょう工学もう一度大学受験して、どこかの理工学部で学んでください。
と言ってはミニ1000は数年動かなくなってしまうので、まったく簡単な説明ですが、低回転時に混合気が過大では、ピストンスピードの1行程中に全てが正しく爆発しきれなくなってしますのです。
ガソリンの爆発にもシリンダー内で徐々に点火されていく事になり、その連続爆発のスピードに対しての最適化、最適量はどの回転数でも同一ではないのです。各チューニング部品にそれぞれの目的と用途があるわけで、何でもレース用が良いと言う事はありません。部品の選択ひとつ取っても長い経験と実績がないとなかなか解り辛い場合が多く、高価なほど良いと言う事も無く、純正部品だからベストと言う事も無い事を覚えてください。 |