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No.14 SU 1-1/4”ツインキャブを選択する理由

No.13では、チューニングヘッドとピストンの選択について説明させていただきましたが、今回はキャブレターについて考えていきたいと思います。

まず初めに、最も基本となるSU 1-1/4”ツインキャブの利点について説明いたします。SUキャブはオールドミニ全車に標準で装着されており、初代850ccミニからクーパーS、クラブマンGTは勿論、60年代から90年代までのBMC、レイランド、MGローバーに至るまで、多くの車種に装着されていました。その最大の理由は、耐久性、実用性に加え、シンプルな構造が故にメンテナンスをほとんど必要としない点にあります。何よりミニの5ポートヘッドにピッタリ装着できるSU 1-1/4”ツインキャブが「90BHP 乗って楽しいミニ」にとってベストチョイスであり、絶対的な安心を得られるキャブレターキットであることに異論はないはずです。

それに対して、ウェーバー40DCOEの部品点数は圧倒的に多く、調整やメンテナンスが必要な上に、構造が複雑なため、変調を起こす可能性が大変高く、微妙な温度変化、水温上昇などが原因で性能が大幅に上下することが多く、扱い易さという点で言えば、エンジンの始動性ひとつ取って見てもSUキャブを上回ることは決してありません。多少なりともチューニングに詳しい方は、「ウェーバーの方が絶対パワーアップに繋がる。」と言うでしょう。また、「あの加速感はSUでは味わえない。」更には「何とも言えないあの吸気音が堪らない。」等々のご意見があるかもしれません。確かにウェーバーにも利点は多々ありますが、求める馬力と快適性、そして何より先々の経済性を考えると、一瞬の加速感や数値だけの馬力追求は、大人のエンスー的チューニング方法とは言えません。明確に言えば、街乗り仕様のミニとして、ウェーバー40DCOE にスワンネックのインマニ+LCB(タコ足)というセッティングでは、我慢、我慢、そして我慢の連続となることは間違いなく、大都市近郊では「何にも楽しくないミニ」となってしまいます。勿論、あなたがサーキットで誰よりも速く走ることを最優先するのであれば、それでも良いのですが・・・。

さて、話をSUキャブに戻すと、現在販売されているSU 1-1/4”ツインキャブはクーバーSのMK1〜MK3、クラブマンGT等に使用されていた物とほぼ同じ仕様となっていますので、当時のカタログ値72〜76 BHPをカバーするのは勿論、90BHP 超でも全く役不足を感じさせない懐の深さを持ち合わせています。ですから、「90BHP 乗って楽しいミニ」を目指すのに、大きい目サイズのキャブを選択しなければならない理由はどこにもありません。SU 1-1/4”とSU 1-1/2”の価格差はほとんどないので、ついつい大き目サイズを選びがちですが、ここでは、「SU 1-1/4”で十分です。」とだけ言っておきます。

SUキャブの構造の説明は長くなるのでここでは割愛させていただきますが、ウェーバーと大きく異なる点を挙げるならば、

  1. 加速ポンプなる機能がないため加速力に劣る。
  2. 可変ベンチュリ機能があるため、安定したエンジン出力を生み出すと共に、アクセルワークに対する追従性に優れる。
  3. ポート位置が合っているため、ウェーバーのように位置合わせに車体改造の必要がない。
  4. ウェーバーのように設置がタコ足の真上に位置しないため、熱対策がそれほど必要ない。(ウェーバーの熱対策はよく知られている大問題で、ガソリンのパーコレーションや臭いの問題ばかりか性能が不安定になる。)
  5. ウェーバーに比べ、断然吸気音が静か。

等々があります。つまり、「疲れるミニ」ではなく「楽しいミニ」にするには、ウェ−バーではなくSUキャブの選択が必要なのです。

 

最後に、弊社が販売するSUツインキャブキットを紹介させていただきます。このキットは、英国で通常売られている物と、細かいところが少しずつ異なった特別仕様に仕立ててあります。キャブに何が重要かをご存じの方は、実際に見ていただければその差は一目瞭然です。例えば、インマニ本体の仕様も通常の物とは違います。その“ほんの少し”が最終的に数馬力の差になることを知っているからこそ、多くのレースメカニックがその仕様にこだわり、手間と時間をかけているわけです。カムやタペットを組む前に修正を施し、どこまで誤差を減らせるか、と同じ事で、この“ほんの少し”が本当に大切な作業であって、やるか、やらないかで、大きな違いとなって表れてきます。今もなお4万台以上のミニがこの国で元気に活躍しているのも、こういったノウハウを持つミニスペシャルショップの長い経験に裏打ちされた高い技術が下支えとなっているからに他なりません。

ノーマルアスピレーション(NA)のミニにどんなエアクリーナーおよびラムパイプ (エアファンネル)が最適かはこちらをご覧ください。

 

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