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No.03  

ピストンとクランクを直結するロッド(棒)ではありますが、このロッドがけっこうな重量があり、特に純正コンロッドはその重量に大きな誤差が発生している場合が殆どです。

ミニに限らず一般的にピストンとピンで重量誤差はトヨタ/ニッサン等の量産車では5〜10gは当たり前で、1g以下はGTRやType R位で、コンロッドになるとそれ以上の重量誤差が発生するのです。
まず、この誤差を限りなくゼロに近づけることが先々大切になってくるわけですが、特にコンロッドはピストンより確実に重いために、また強度を上げるためにも、これからご説明することがチューニングの基本となるからです。

純正コンロッドは量産製品のために、色々と誤差範囲が多く、その第一が全体重量・第二が上下の重量誤差・そして第三に強度誤差、とだいたいこれ位はチェックすることです。そして、それ以上のことを望むのであれば、純正コンロッドは使用せず、クーパーSと同等材質のコンロッドかH型コンロッドということになります。
その理由は加工精度を見直し、誤差の発見に努めても、お金と時間の無駄というわけです。

しかし主にどこの精度が問題になるのか?気になる方のためにお知らせすると、それは上下にある大小の穴の位置と平行度そして内径で、各コンロッドのバラツキ誤差は、中古コンロッドは意外に大きいのです。長期間の使用による変形か?熱による変形か?それ以外の原因か?色々と考えられますが、この辺の精度を中古のコンロッドに対してトライすると純レース用コンロッドを買うより高額になってしまうのです。

 

何とも頼りない説明ではありますが、現実的には可能であっても、コストと精度をどこで折り合いつけるかを明確にしていかないと、割高なチューニングになってしまうわけです。

純正コンロッド、それもあなたの中古ミニ1300ccで12万kmも走行して、現在も毎日運転されているミニ1300ccであれば全く問題なく、90BHPに利用できると言えます。
そして第一には重量のバラツキをゼロにして下さい。第二に側面とピストンピンの入る上部もピカピカにツルツルになるまで面研して下さい。そして第三に上下の重量を一本ずつチェックして下さい。上下バラしたコンロッドは必ず元の組み合わせに戻して下さい。

なかなか4本のコンロッド全て同一重量には出来ないと思いますが、キッチン用の秤も相当誤差がありますので、それほど神経質にならずに、良く重量のチェックをして下さい。そして一番軽いコンロッドに目標を合わせてトライしてみては如何でしょうか?

なんで側面をピカピカのツルツルにするのか?そんなところを軽量化するよりも、肉厚の部分を研磨した方が早いのでは?と思っている方のために説明すると、側面のピカピカは共鳴を止める為と、それによるクラック(ヒビ)を防止する効果で軽量化ではありません。ここではコンロッドの軽量化はお薦めしてはおりません。何でもかんでも軽量化は純正コンロッドには不向きと言えます。それよりも重さのバラツキをゼロに近づけて、強度アップと耐久性向上の加工の方が、より正しいチューニングの第一歩なのです。

ピストンそして、コンロッドの加工とかなり本格的な部分ではありますが、これは基本中の基本でして、エンジン出力向上の90BHPを簡単に入手できると考えている方は、今のところ全て耐久性の向上の「お触り」部分でして、ここまでで出力は何にも向上しません。若干エンジン音が変化したかもしれませんが馬力はほとんどノーマル然でしょう。

ここでひとつプロ用のピストンリングの加工をお伝え致します。
ピストンリングは必ず一箇所切断されている箇所が存在しており、この部分が組みつけの際どうしても各リングの「カド」がピストンボア内に「キズ」をつけてしまう事が多いのです。

外側上下の4ヶ所を若干オイルストーンを使用して「カド」を摩滅させるのです。こうすることによって、シリンダー内の「縦キズ」を若干でも防ぐ事が出来るのです。更にもうひとつは、せっかくピストンをバラしたのであれば、シリンダー内にリングを入れてみて、その「切断」されている「隙間」を「シックネスゲージ」を使って計測して下さい。この「隙間」はゼロもダメで、あり過ぎもダメなのです。何でもかんでも「誤差ゼロ」を目標にしたがる素人の方が多いように思われますが、それはあまり正しくありません。熱変形が理解されてない為ではないかと考えられますが外気常温で計測した誤差は、熱膨張によって「ゼロ」に近づく事はあってもエンジン内部のどの金属部分も「縮小」は全く無いのです。ですから「誤差ゼロ」が正確なエンジンの組み立てにはならないと言えます。

ピストン・コンロッドと出力の全てを受け止める部品は、なんと言っても強度と耐久力を求められる所なので、逆を言えば90馬力(BHP)以上を無理に求めない方が結果として正しいチューニング(パワーアップ)と言えるのです。

【追記】

標準コンロッドは強度的にも“軽くする”ことは大変危険です。各コンロッド同士のバランスや重量を合わせることと、集中応力を無くすように表面をバフ掛け(鏡面仕上げ)することを目的としたバランス取り加工となります。

コンロッドキャップの下部に図の様な部分が付いているタイプ(古いアルファロメオやケントユニット、
クーパーSの60年代に見られます)を軽量化する場合、この四角い重量部分を水平(ストレート形状)や、内径と平行(アール形状)に切削してはいけません。応力がコンロッドキャップ中央に集中して、クラックが入る可能性が相当高くなってしまいます。この部分を内径に合わせたアール形状に加工してしまい、コンロッドがブロックから突き抜けたセミレーシングエンジンも多いはずです。

ですから軽量化する際は、鋭角部分をなくすように「逆さ富士山型」をイメージした滑らかな曲線になるように仕上げることが重要なのです。

四隅の角を落とす(鋭角部分をなくし滑らかに)程度でも十分ですが、その際も必ずぴかぴかスベスベ
つるつるのバフ掛けもお忘れなく。

次は「クランク」(クランクシャフト)へ入る予定ですが、純正クランクをどのようにしたら安価で強度と耐久力をアップさせる事が出来るかを、お知らせ致します。

 

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