#11 SANWA KAD MINI 無念のリタイア
7 月 6 日(日)筑波サーキットで開催された JCCA CLASSIC CAR FESTIVAL “ TSUKUBA MEETING SUMMER “ で、 #11 SANWA KAD MINI が昨年の筑波戦から今年の富士スピードウェイでの勝利でチーム 4 連勝、 ドライバー 3 連勝の記録に挑んだが、予選ポールポジションを獲得するも決勝出走出来ず、無念のリタイアとなった。
富士スピードウェイのロングコースが過酷さを物語る : 連勝、最速を目指し、チーム一丸となって臨んだ夏の筑波戦。 本番に向け 6 月のテストですでに兆候が見られた。このテストでは、念願のウェットセッティングを見出せたものの、テストとは言え、 走行距離は伸び、高回転を酷使するレースエンジンの使用時間はすでに英国チューナー KAD ( KENT AUTO DEVELOPMENT )の指示を超えていた。 テスト走行を終えピットに戻るとブローバイタンクにオイルが確認された。やはり富士スピードウェイのレースはミニにとっては過酷だったか・・・ ミーティングではブローバイの量が論点となったが結論が出ず、レース前日のテストに入った。 レース前日のテストでは、雨が降り始め、ドライコンディションを待った。雨が上がりほぼドライコンディションでの走行を終えると、 ブローバイタンクはもちろん、シリンダーヘッドからもオイルが確認された。「これでは本番が大きな掛けになってしまう・・・」。 本番のレースで、メカニカルトラブルを誘発させ、コースをオイルで汚し、ペナルティフラッグを受ける上に、他の参加者に大きな迷惑はかけられない。 また、もしパワーユニットの破損の仕方次第では、全て部品が再利用できない状況に陥る。それは絶対に回避しなければならない。 チームはテストを切り上げ、JCCA 事務局へエンジンの交換作業の許可を確認し工場へ直行。幸い、次期ニューエンジンが用意されていたので、 パワーユニットのみの交換作業に入った。
刻一刻と時間が迫る : 仕様の違うニューエンジンは、どちらかと言うとトルク重視で筑波サーキット向きと言える。排気量はもちろんJCCAのレギュレーションに沿った設計。 今回の作業は、同じギアボックスを使用するため、ギアボックスから上を切り離し交換作業に入る。作業は順調に進んだが、時間は無情にも過ぎて行く。 ニューエンジンは、これまでの TRS (テクノレーシングシステムズ)が独自に開発したドライデッキシステムにはなっておらず、交換作業にも仕様変更が必要とされる。 もちろん交換作業でミスは許されない。加工が必要なヤマ場を迎える。無難に終え、そして次の作業へ。このような場面を繰り返して行く。 作業は深夜に及び、予想以上に時間が掛かる。そしてキャブレターの搭載まで到達したところでまたヤマ場を迎える。メカニック、スタッフに焦りと疲労が。 しかし、メカニックが冷静に判明し解決する。気が付くと出発しなければならない時間が刻一刻と迫る。エンジンに火が入り、各部を確認し速やかに車両を積む。 時計の針はこのままサーキットへ直行しなければならない時間を差した。現場に到着してからの行動を全員で確認し、明け方の工場を後にした。
予選ポールポジション : やるだけの事はやった。スタッフには笑顔も見えた。レース当日、サーキットでは出走に向け淡々とスケジュールが進んでいった。 そして、予選開始。序盤からドラバー吉田広樹選手は果敢にタイムアタック。すでにトップタイムを記録。一旦ピットインし方向性を確認し、再度アタックするため再びコースへ。しかし・・・間もなくピットへ戻ってきた。「駆動系に違和感が。パワーが伝わらない・・・」ドライバーのインフォメーションにメカニックが徹夜の作業を振り返り不安に陥る。 駆動系を軽く確認するが、大きな異変はない。そのまま予選が終了し車輌保管に入るが、車両保管中の作業申請を行った。重整備になる可能性があるため、 ピットでの作業の許可を得、確認作業に入った。
ギアに異変か・・・ : 車両の動きを確認しているとギアの入りに違和感がある。一つ一つの確認作業で過去のトラブルが頭をよぎる。クラッチか・・・ フライホイルカバーから確認していると、破片らしき物を発見。クラッチバックプレート(プレッシャープレート)だった。予備は無い。しかもチューニング部品。 手配の時間を考えても、作業時間を含めると決勝には間に合わない。万事休す・・・リタイア届けを提出した。
■ ドライバー 吉田広樹 選手コメント
前回のテストから良い感触で迎えたJCCA筑波。今回のレースも連勝する気持ちで予選を迎えました。 実のところ、前日のテスト終了後にエンジントラブルが発覚したのですが、チームは万全な状態でレースに挑めるよう、徹夜でエンジン交換を行ってくれました。 その気持ちに応えるためにも、予選からポールポジションを獲得すべくタイムアタックを行い、計測3周目には1分'02秒717というタイムを出せたので、 一旦ピットインしマシンのチェックを行いました。この時点で、まだタイムを縮める余地があったので、再びコースインし再度アタックを開始したのですが、 マシンに違和感を感じたのでピットイン。原因を探して貰った結果、修復は不可能な状況だったため、そのまま決勝はリタイヤとなってしまいました。 予選序盤に記録したタイムでポールポジションを獲得しましたが、チームが今回のレースに掛ける意気込みを感じていたため、 リタイヤという結果は本当に残念でなりません。その分も含め、次回のJCCAレースを圧勝し、三和トレーディングMINIの素晴らしさを証明したいと思います。 チームスタッフの皆様、関係者の皆様お疲れ様でした。ありがとうございました。
■ 監督 コメント
悔しい・・・とにかく悔しい。そして残念でなりません。わざわざサーキットまで応援に来て頂いた方々に申し訳なくて仕方ありません。 本当にすみませんでした。パドックでは対応に追われてしまいましたが、注目されている視線を感じましたし、声もかけて頂きました。 JCCA事務局の方々も、レギュレーションに基づきスムーズに点検、修理を行わせて頂き、ただただ感謝です。 そしてJCCAに参加している皆様にもご迷惑をお掛け致しました。 6月のテストですでに兆候はありました。パワーユニットの管理もすでにチューナーの設定時間を経過していたので、 何か胸につかえる気持ちで進めてしまいました。温存の方向で強い指示を出せなかった事が悔しいです。責任を感じます。 トラブルを起こした部品については、本国から材質を強化した物を手配しています。 残り一レース、気持ちを切り替え万全の態勢で臨みたいと思います。